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1. 和モダンとは何か
和モダンとは、日本の伝統的な意匠と現代的な暮らしやすさを組み合わせたインテリアスタイルです。
畳や障子といった純和風の要素をそのまま再現するのではなく、素材感や色使い、余白の取り方といった「和の考え方」を、現代の住まいに取り入れるのが和モダンです。だからこそ、フローリングのワンルームでも成立します。
①和モダンの3つの特徴
低い視線 日本の伝統的な住まいは、床に座る生活を前提としていました。そのため家具の背が低く、視線が下がります。これは狭い部屋を広く見せる効果もあるため、一人暮らしの部屋とも相性が良い考え方です。
余白を大切にする 床の間に一輪だけ花を活けるように、和の空間はものを詰め込みません。何を置くかより、何を置かないかを考えるスタイルです。
自然素材を使う 木、い草、和紙、麻など、時間とともに風合いが変わる素材を選びます。ツヤのあるプラスチックや金属光沢は、和モダンからは遠ざかります。
②純和風との違い
純和風が「畳・障子・襖」といった具体的な建具を必要とするのに対し、和モダンは色と素材と余白で表現できます。賃貸で内装を変えられなくても実現できるのは、このためです。
2. 色は「70:25:5」の3色ルールで決まる

和モダンな部屋づくりで最も効果が大きいのは、実は家具選びではなく色選びです。使う色を絞るだけで、統一感のある空間になります。
配色の基本は、インテリア全般で使われる70:25:5の法則です。
①ベースカラー:70%(生成り・アイボリー)
壁、床、カーテンなど、部屋の大部分を占める色です。和モダンでは生成り、アイボリー、淡いベージュを選びます。
賃貸の場合、壁は白またはアイボリーであることが多いので、そのまま活かせます。カーテンを生成りのリネン調に替えるだけで、和の空気が生まれます。
真っ白よりも、少し黄みがかった生成りの方が、木の色と馴染みます。
②メインカラー:25%(木の色・ブラウン)
家具や建具の色です。ローテーブル、テレビ台、シェルフなど、木製家具の色をそろえることがポイントになります。
木の色は大きく分けて、明るいオーク系、中間のチーク系、濃いウォールナット系があります。和モダンでは明るめから中間の色が扱いやすく、部屋も広く見えます。
注意点として、異なる木の色を混ぜないでください。オークのテーブルとウォールナットの棚を並べると、それだけで統一感が失われます。
③アクセントカラー:5%(藍色・深い青)
クッション、花瓶、アートなど、小面積に効かせる色です。和モダンでは藍色や紺が最も相性が良く、日本の伝統色でもあります。
5%というのは非常に少ない面積です。6畳の部屋なら、クッション2つと花瓶1つ程度と考えてください。この抑制が、和モダンらしい落ち着きを生みます。
藍色以外では、深緑(苔色)や墨黒もアクセントとして使えます。
青を基調にする場合の具体的な配分は、こちらにまとめました。
3. 賃貸でできる和の要素5つ
内装を変えられない賃貸でも、置くだけ・掛けるだけで和の要素を足せます。
畳やラグをどこに敷くかで悩む場合は、こちらの家具配置3パターンを先に見ておくと決めやすくなります。
① 置き畳

フローリングの上に敷くだけの畳です。工事も接着も不要で、退去時はそのまま持ち出せます。
選び方:半畳サイズ(約82×82cm)が扱いやすく、2枚から始められます。素材は天然い草と樹脂製があり、香りを楽しみたいなら天然い草、手入れの楽さを取るなら樹脂製です。
置く場所:ローテーブルの下、ベッドの足元、窓際の一角など。部屋全体に敷き詰める必要はなく、一角だけでも空気が変わります。
注意点:フローリングとの間に湿気がこもるため、時々持ち上げて風を通してください。
② のれん

突っ張り棒と組み合わせれば、賃貸でも空間を仕切れます。
使い方:キッチンとの境で生活感を目隠しする、クローゼットの扉代わりにする、玄関からの視線をカットする、といった使い方ができます。
藍染めや紺色ののれんを選べば、アクセントカラーの役割も兼ねられます。
③ 和紙の照明
和紙のシェードを通した光は、直接光より柔らかく拡散します。ペンダントライトやフロアランプで取り入れられます。
照明については次の章で詳しく扱います。
④ い草ラグ・ラタンの敷物
置き畳ほどの厚みがなく、より手軽に和の質感を足せます。夏はさらりとした肌触りで実用的でもあります。
⑤ 一輪挿しと枝もの
和の空間で最も手軽な要素がこれです。青磁や黒の陶器に、枝ものを一本だけ活けます。
選ぶ枝:ドウダンツツジ、雲龍柳、南天など。花屋で「枝もの」と伝えれば季節のものを教えてもらえます。ドライフラワーでも構いません。
置き場所:玄関、テレビ台の上、窓辺。一か所だけにするのがコツで、あちこちに置くと余白が失われます。
4. 照明を変えると和モダンになる

部屋がどこか落ち着かないと感じるとき、原因は照明であることが多くあります。
照明の選び方そのものは、こちらの記事で色温度や置き方を詳しく解説しています。
①天井の1灯だけでは平坦になる
賃貸の多くは、天井にシーリングライトが1つ付いています。部屋全体を均一に照らすため明るいのですが、影ができないため空間が平坦に見えます。
和の空間は、明暗の差によって奥行きを生みます。均一な明るさは、和モダンから最も遠い状態です。
②電球色を選ぶ
照明の色は、大きく分けて昼白色(青白い光)と電球色(オレンジがかった光)があります。和モダンにするなら**電球色(色温度2700K前後)**を選んでください。
シーリングライトを買い替えなくても、調色機能があれば設定を変えるだけで済みます。
③光源を2か所以上、高さを変えて置く
天井の照明に加えて、低い位置に光源を足すのが最大のポイントです。
- フロアランプ(床置き、高さ150cm前後)
- テーブルランプ(棚やサイドテーブルの上)
- 和紙シェードのペンダントライト(低めに吊る)
高さの違う光が2〜3か所あると、影が生まれて空間に奥行きが出ます。夜は天井の照明を消し、この間接照明だけで過ごすと、一気にくつろげる空間になります。
④和紙シェードを選ぶ理由
和紙は光を透過させながら拡散するため、眩しさがなく柔らかい印象になります。提灯型のペンダントライトや、行灯型のフロアランプが定番です。
素材そのものが和の要素なので、照明器具1つで和モダンの主役にもなります。
5. 和モダンに合う植物と鉢の選び方
グリーンは和モダンと相性が良いのですが、選び方を間違えると洋風やリゾート風に寄ってしまいます。
①選ぶなら「細い枝」「縦のライン」
和モダンに合うのは、枝が細く、葉が小さく、縦に伸びる植物です。
- アオダモ:繊細な枝ぶりで和の趣が強い
- シマトネリコ:明るく涼やか。育てやすい
- ドラセナ・コンシンネ:すっきりした縦のライン
- 南天:和の定番。縁起物としても知られる
- 苔玉:省スペースで和の風情が出る
逆に、モンステラやパキラのような葉が大きく丸い植物は、南国やリゾートの印象が強くなります。和モダンには馴染みにくいので注意してください。
②鉢で印象が決まる
実は植物そのものより、鉢の選び方の方が影響が大きいです。
和モダンにするなら、黒・グレー・生成りの陶器を選んでください。マットな質感のものが理想です。プラスチック鉢やカラフルな鉢は、それだけで洋風に寄ります。
購入時のビニールポットのまま置かず、鉢カバーだけでも変えると印象が変わります。
6. ジャパンディとの違い
近年、海外で「ジャパンディ(Japandi)」というスタイルが人気を集めています。これは Japanese(日本)と Scandinavian(北欧)を組み合わせた造語です。
①共通点
和モダンとジャパンディは、どちらも以下を重視します。
- シンプルであること
- 自然素材を使うこと
- 機能美を大切にすること
日本と北欧は、気候も文化も異なるにもかかわらず、インテリアの価値観が近いことで知られています。
②違い
和モダンは、日本の要素が中心です。直線的で、余白が多く、色数がより少ない傾向があります。畳やのれんといった日本固有の要素も使います。
ジャパンディは、北欧の要素が加わります。曲線的な家具、ウールやリネンのファブリック、明るい木の色が特徴で、和モダンよりやや温かみのある印象になります。
③どちらを目指すか
厳密に区別する必要はありません。ただ、自分がどちらの空気感を求めているかを意識すると、家具選びで迷いにくくなります。
シャープで静かな空間なら和モダン、柔らかく居心地の良い空間ならジャパンディ、と考えるとよいでしょう。
7. まとめ
和モダンは、内装を変えられない賃貸でも実現できるスタイルです。
- 和モダンは「低い視線」「余白」「自然素材」の3つが軸
- 色は生成り70%・木の色25%・藍色5%の比率でそろえる
- 置き畳、のれん、和紙照明、い草ラグ、一輪挿しで和の要素を足せる
- 照明は電球色にして、低い位置に光源を2か所以上
- 植物は細い枝のものを、鉢は黒かグレーの陶器で
すべてを一度にそろえる必要はありません。まずはクッションを藍色に替える、あるいは一輪挿しを一つ置くところから始めてみてください。色を絞るだけでも、部屋の印象は変わります。




